リック・ルービンは、音楽史における他のどのプロデューサーとも一線を画しています。彼は楽器を演奏せず、ミキシング・コンソールの操作方法も知らず、自身が「音楽について何も知らない」と公言していることで有名です。それにもかかわらず、彼は過去40年間で最も影響力のあるアルバムの数々を世に送り出し、ビースティ・ボーイズやレッド・ホット・チリ・ペッパーズから、ジョニー・キャッシュ、アデルに至るまで、多岐にわたるアーティストと協働してきました。
技術的な音楽スキルを持たない男が、どのようにしてアーティストたちを常に彼らの最高傑作へと導くことができるのでしょうか?
このインタビュー集では、ルービンの数十年に及ぶスタジオワークや、彼のベストセラー著書『The Creative Act: A Way of Being』(邦題:クリエイティブ・アクト)から、彼のクリエイティブな哲学を紐解きます。
Q:ご自身で技術的なスキルはないとよくおっしゃっていますが、スタジオ内でのご自身の役割は何ですか?
リック・ルービン: 私の役割は、レコード制作の技術的な側面とはほとんど関係がありません。ミキシング・コンソールの操作方法は知りません。その代わり、私の仕事は「聴く」こと――真に耳を傾けること――であり、アーティスト自身が自分自身の邪魔をしないよう手助けすることです。
多くのアーティストは考えすぎるという病にかかっています。ラジオでの放送回数や予算、ファンが何を求めているかなどを心配してしまうのです。私はそうした雑念が一切存在しない環境を作るよう努めています。私たちは、その瞬間に何が「本物」と感じられるかだけに完全に集中します。
Q:そのような環境はどのようにして作り出すのですか?
リック・ルービン: まず空間づくりから始まります。レコーディングスタジオは、オフィスやハイテクな実験室のようであってはなりません。そこは聖域(サンクチュアリ)であるべきです。温かみのある照明や座り心地の良い椅子を配置し、集中を妨げるものを排除します。
1991年にレッド・ホット・チリ・ペッパーズの『Blood Sugar Sex Magik』を制作した際、私たちは一般的なスタジオは借りませんでした。ローレル・キャニオンにある、幽霊が出ると噂される大きな洋館を丸ごと借りました。バンドはそこで暮らし、食事を共にし、録音を行いました。それは仕事というよりも、クリエイティブな合宿のようでした。
Q:著書の中で「聴く(リスニング)という芸術」について書いていますが、なぜそれがそれほど重要なのですか?
リック・ルービン: 聴くことは、究極の表現(クリエイティブ)活動です。ほとんどの人は音楽を単に「耳に入れている」だけで、本当に「聴いて」はいません。次に何を言うか、あるいはどう編集するかを考えずに深く聴くとき、私たちは微細なニュアンスを感じ取り始めます。
私はよくアーティストたちをモニタースピーカーの前に座らせ、目を閉じさせて、ただ楽曲を体験させます。私たちは異なる要素に毎回集中しながら、その曲を10回連続で聴きます。真に注意を払うことで、どれほど多くのディテールが浮かび上がってくるかに驚くはずです。
「自然の持つ力こそが、すべての芸術が目指すべき姿です。宇宙の調和と同調すればするほど、私たちの芸術はより深く響き渡るようになります。私たちの役割は、無から創り出すことではなく、受け取って翻訳することなのです。」
— リック・ルービン 『The Creative Act』Q:自宅のベッドルームで制作を行うプロデューサーやインディーアーティストに向けて、何かアドバイスはありますか?
リック・ルービン: 聴衆(オーディエンス)のためにアートを作ってはなりません。自分自身のためにアートを作るのです。「人々はこのコード進行を気に入るだろうか?」とか「このビートは十分に商業的か?」と考え始めた瞬間、あなたはもはやアートを作っているのではなく、商業用の製品を作っていることになります。
自分の審美眼(センス)を養ってください。自分の直感を信じるのです。何かに対して自分がワクワクするのを感じたら、それは良いものなのです。それこそが、あなたが持つ唯一の羅針盤です。
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